製薬業界:ビジュアルで信頼を築く

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ビジュアルは製薬ブランドの信頼構築にどのように役立つのでしょうか? 多くの人が健康状態や医療制度の将来について不安を感じている現代の世界では、製薬ブランドが企業と消費者の両方とつながることが、これまで以上に重要になっています。それでは、ゲッティイメージズのVisualGPSの調査から、製薬ブランドが適切なビジュアル戦略で、オーディエンスを効果的に惹きつける方法に関する最新の洞察をご紹介します。

重要なのは科学

大多数のヨーロッパ人は、どの医薬品やサービスを使用するかを決める際に、信頼できる評判を持っていることがもっとも重要な判断材料になると考えています。認可を受けた、あるいは認定を受けた医療専門家による推奨と、科学的根拠に裏打ちされた研究は、消費者が製薬ブランドからのビジュアル・コミュニケーションに求めるものです。科学的な権威は重要なのです。医療費と医療へのアクセスに関する不安が高まっていることから、人々は製薬ブランドに対し、自社製品の安全性と有効性について保証を求めています。78%のヨーロッパ人は、医師へのアクセスが減少すると考えており、約3割は医療費を経済的な懸念事項と見ています。

しかし、ギャップがあるのです!過去12か月間で、ヨーロッパの製薬業界の顧客の間でもっとも人気があったビジュアル10点のうち、科学に焦点を当てたものは1点のみでした。また、科学者が働いている様子を描いたものはわずか2%にすぎませんでした。さらに、信頼を築く際に、72%のヨーロッパ人は、製薬会社があらゆる体型、サイズ、年齢、民族の人々を適切に描写することを望んでいます。これは、製薬ブランドにとって、ビジュアル戦略を推進する上で、親しみやすく包括的な視点で科学的な専門知識を表現することにより、信頼を構築する機会となることを意味します。

職場でのウェルビーイングを優先する

企業が、どのように職場のウェルビーイングを指導しているかを示すことが、今日ではすべてのブランドに期待されています。これは人材の維持と新規採用にとって重要なことです。ワークライフバランスが、健康に不可欠であることに引き続き重点が置かれています。従業員の幸福感は大切な事項であり、ヨーロッパ人の71%が、企業は従業員のメンタルヘルスをサポートする義務があるとしています。製薬業界の意思決定者の64%が、従業員の健康をサポートすることが重要であると同意しています。このことを伝えるには、柔軟な勤務形態や従業員のワークライフを充実させるサポートを示すビジュアルを検討してみましょう。コラボレーション、つながり、関係性の構築を強調してください。

ヘルスケアにおけるAIの可能性

AIをめぐる感情は、消費者の間では矛盾に満ちています。ほぼ半数のヨーロッパ人が、1年前と比べてAIに対してより肯定的な見方をしている一方で、大多数は依然として、AIのリスクは社会への好影響を上回ると考えています。しかし、病気の早期発見や早期治療の支援など、ヘルスケアにおける AIの可能性は前向きにとらえられています。興味深いことに、90%のヨーロッパ人は、ブランドの信頼を築くには本物のビジュアルが欠かせないと答えています。つまり、製薬ブランドは、真正性と透明性を前面に押し出しながら、ヘルスケアにおけるAIの可能性に安心感を抱く消費者を増やすことができるということなのです。

適切なビジュアルは、製薬ブランドの信頼構築に重要な役割を果たす可能性があることを忘れないでください。科学的な専門知識を駆使して、職場のウェルビーイングに焦点を当てる。あるいは、ヘルスケアのAIの可能性に目を向けながら、真正性を重視することで、現代のオーディエンスとつながることができるのです。 

Sandra Michalska
クリエイティブインサイトマネージャー
ゲッティイメージズとiStockのEMEA地域クリエイティブインサイトリサーチャー。フランス語圏市場を中心に、リサーチャーやアートディレクターで構成される部門横断的な国際チームと業務を行う。ブランド戦略と視覚文化に根ざした専門知識は、パリの広告代理店とデザイン事務所でキャリアを積みながら培われたもの。2020年からはクリエイティブインサイトチームに所属し、ブランドのビジュアル戦略を支援している。熱心な映画ファン。仕事以外では、映画館、美術館、モータースポーツといった場所で彼女の姿を見ることができる。

1163741506、Treedeo
2020451284, Andriy Onufriyenko

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